借金の時効は何年?やり方と条件&援用手続きのメリット・デメリットを解説

借金の返済に行き詰まって、時効援用を検討している人も多いのではないでしょうか。でも、時効の条件や手続きというのは意外と複雑で、うまくいかないこともあります。

この記事では、借金の時効期間や成立条件、援用のやり方やメリット・デメリットなどを詳しく解説します。時効援用は借金問題の解決策の一つですが、注意点もしっかり押さえておかないと、かえって状況が悪化してしまうかもしれません

債務整理や闇金対策など、借金問題の様々な解決方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。借金の時効について正しい知識を身につけて、賢明な判断ができるようになりましょう。

ー 無料相談受付中 ー

経験豊富な弁護士が早期解決を実現します。
借金問題・信用情報のお悩みは
真下博孝法律事務所にご相談ください。

借金の時効は何年?

借金の時効は何年?

借金の時効期間については、2020年4月施行の改正民法により大きく変更になりました。現在の借金の時効は原則として5年となっていますが、一部の借金については10年の時効期間が適用される場合もあります。

借金の時効について詳しく見ていきましょう。

借金の時効は原則5年

2020年4月1日に施行された「民法の一部を改正する法律」により、借金の消滅時効期間は原則として5年に統一されました。

つまり、2020年4月以降に発生した借金については、債権者が権利を行使できる時から5年が経過すると、債務者は時効を援用して債務の履行を拒否することができるようになります。

ただし、債権者が権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年のいずれか早い方の期間内に時効が完成するというルールもあるので注意が必要です。

一部の借金は時効が10年のものも?

2020年3月以前に発生した借金の中には、時効期間が10年のものもあります。例えば、個人間で金銭を貸借した場合、消滅時効期間は10年と定められていました。

独立行政法人日本学生支援機構の奨学金や、住宅金融支援機構の住宅ローンなど、公的機関からの借金についても、従来通り10年の時効期間が適用されます。そのため、借金の時効を検討する際は、いつ借金が発生したのか、誰からの借金なのかを正確に把握しておく必要があります。

時効の起算点は「返済期限」

借金の時効がいつから進行するのかは、非常に重要なポイントです。一般的に、借金の時効は「返済期限」を起算点として進行します。

例えば、毎月一定額を返済する約定弁済の場合は最終弁済日リボ払いの場合は支払期日が時効の起算点です。また、返済期限の定めがない借金の場合は、債権者から具体的に弁済を請求された時点が起算点になると考えられています。

債権者との交渉次第では起算点が変動することもあり得るため、適切な債務整理を行うためにも、弁護士などの専門家への相談がおすすめです。

借金の時効が成立する条件とは?

借金の時効が成立する条件とは?

借金の消滅時効を援用するためには、一定の条件を満たす必要があります。単に時効期間が経過しただけでは、借金の支払い義務が自動的になくなるわけではありません。

時効成立のために必要な3つの条件について解説します。

1. 時効期間(原則5年)が経過していること

借金の消滅時効が成立するための大前提は、法律で定められた時効期間が経過していることです。2020年4月施行の改正民法により、借金の時効期間は原則として5年に統一されました。

約定返済の最終弁済日やリボ払いの支払期日、あるいは債権者からの弁済請求日から起算して5年が経過すれば、借金の時効が完成したことになります。ただし、2020年3月以前に発生した一部の借金については、10年の時効期間が適用される場合もあるため、注意が必要です。

2. その間、債務の一部でも弁済していないこと

時効の進行中に、債務者が借金の一部でも弁済してしまうと、時効はリセットされてしまいます。たとえわずかな金額であっても、元本や利息の支払いは時効の更新事由に該当するため、時効の起算点が支払日にリセットされ、その日からカウントし直しになってしまうのです。

したがって、時効の完成を目指すのであれば、時効期間中は借金の支払いを一切行わないことが重要となります。万が一支払いをしてしまった場合は、再度時効期間を満了させる必要があります。

3. 債務の存在を認める行為をしていないこと

時効の更新事由は、弁済行為だけではありません。分割払いの提案や、支払猶予の申し出なども、債務の存在を認める行為とみなされ、時効の更新事由に該当してしまいます。そうした行為をした時点で時効がリセットし、再びゼロからカウントすることになるのです。

時効の完成を目指す債務者としては、債権者との交渉の際にも細心の注意を払う必要があります。安易に債務を認めるような発言は避け、弁護士など専門家のアドバイスを仰ぐことをおすすめします。

そもそも借金の時効援用とは?

そもそも借金の時効援用とは?

借金の消滅時効について理解するうえで欠かせないのが、「時効の援用」という考え方です。民法の規定によると、時効期間が経過しただけでは借金が自動的に消滅するわけではありません

債務者が時効の利益を受けるには、債権者に対して時効を援用する意思表示を行う必要があるのです。時効の援用について詳しく見ていきましょう。

時効の利益を受けるための意思表示

消滅時効制度は、一定期間が経過した債権を消滅させることで、法的安定性を確保することを目的としています。しかし、時効期間が満了したからといって、債務が当然に消滅してしまうわけではありません。

債務者が時効によって債務を免れたいと考える場合は、時効を援用する旨の意思表示を行わなければなりません。意思表示をすることによって初めて、債務の支払い義務がなくなるのです。時効の援用は、債務者の権利であると同時に、義務でもあるといえるでしょう。

時効の援用は債権者に対して行う

時効の援用は、債権者に対して行う必要があります。電話や口頭で伝えることも可能ですが、トラブルを避けるためには、内容証明郵便で通知するのが一般的です。

内容証明郵便であれば、発送した事実と通知内容を証明することができ、後々の紛争に備えることができます。また、配達証明をつけることで、確実に債権者に到達したことを証明できます。援用通知の控えと配達証明は、時効の援用を行った証拠として大切に保管しておきましょう。

一度援用すれば、債権者は二度と請求できない

一度時効の援用を行えば、債務者は債務の履行を拒絶する正当な権利を得たことになります。したがって、その後、債権者が再び弁済を求めてきたとしても、応じる必要はありません。仮に債権者が時効援用後に訴訟を提起してきた場合でも、裁判の場で時効を援用すれば、債務者側の勝訴を勝ち取ることができるでしょう。

ただし、時効の成立要件を満たしていない場合は、援用が認められない可能性もあります。時効援用については、弁護士に相談して慎重に進めることをおすすめします。

時効援用のメリットとデメリット

時効援用のメリットとデメリット

借金の時効援用によって債務を免れることができれば、債務者にとっては大きなメリットとなります。しかし、その一方でデメリットもあることを理解しておかなければいけません。

時効援用を検討する際は、メリットとデメリットを十分に吟味したうえで、適切な判断を下すことが重要です。

メリット:借金の支払い義務がなくなる

時効援用が認められれば、たとえ数百万円、数千万円の借金であっても、支払い義務を免れることができます。借金の元本はもちろん、利息や遅延損害金なども支払う必要がなくなるのです。

つまり、時効援用によって、それまでの借金が帳消しになるといっても過言ではありません。債務者にとっては、極めて大きなメリットといえるでしょう。ただし、時効援用が認められるかどうかは、債権者との交渉次第という面もあります。

メリット:財産を失わずに債務を整理できる

時効援用のもうひとつの大きなメリットは、債務者が財産を失うことなく、債務を整理できる点です。

例えば、自己破産の場合は、原則として債務者の全財産が処分の対象となります。

しかし、時効援用であれば、財産を手放す必要はありません。預貯金や不動産など、債務者が所有する財産を守ったまま、債務を整理することが可能なのです。債務の蓄積によってリスクの高い商取引を禁止された債務者であっても、新たな事業を立ち上げる原資を残しておくことができます。

デメリット:ブラックリストに載り続ける可能性

時効援用による債務整理は、魅力的な選択肢ではありますが、デメリットもあります。なかでも、債務者の信用情報に関する影響は無視できません。

多くの場合、時効援用を行っても、信用情報機関に登録された延滞等の記録は自動的に消えることはありません。時効援用後も、ブラックリストに載り続ける可能性が高いのです。新たな借り入れや信用取引を行う上での障壁となるため、時効援用と並行して、別途信用情報の回復手続きを行う必要があるでしょう。

時効援用の注意点

時効援用の注意点

時効援用を行う際には、いくつかの重要なポイントに注意が必要です。時効期間の計算を誤ったり、手続きを適切に行わなかったりすると、せっかくの時効援用が無効になってしまうこともあります。

時効援用を検討している方に知っておいていただきたい注意点を解説します。

時効更新の有無を確認する

時効援用を行う前に、まず確認しておくべきなのが時効更新の有無です。時効援用が有効となるためには、時効期間が満了している必要があります。しかし、その間に債務の一部でも弁済していたり、債務の存在を認める行為をしていたりすると、時効期間がリセットされてしまいます。

例えば、数年前に支払いを止めていた借金について、つい最近になって利息だけでも支払おうとしたケースです。利息の支払いは、債務の承認に当たるため、その時点から改めて時効期間が進行し始めます。こうした事実がないか、時効援用の前にしっかりと確認しておくことが肝要と言えるでしょう。

時効更新の有無は、債権者への確認や取引履歴の確認などから判断します。少しでも不安があれば、時効援用は見送るか、専門家に相談するのがおすすめです。時効の更新は、たった一度の行為で簡単に起こり得るのです。

債権者を適切に特定する

時効援用の通知は、適切な債権者に対して行う必要があります。

注意

ところが、借金の債権が譲渡されていたり、債権回収会社に委託されていたりすると、「誰に時効援用すればいいのか」が分かりづらくなります。

仮に、借金の時効が完成していたとしても、間違った相手に時効援用の通知を送ってしまえば、効力は発生しません。その結果、正しい債権者から改めて全額払いを請求されるリスクがあるのです。

現在の債権者が誰なのかをキチンと特定することが重要になります。書面での確認や、信用情報機関の登録情報の開示請求などを活用しましょう。債権譲渡の有無や、債権回収の委託状況などを把握できれば、的確な相手への通知が可能になります。

専門家に依頼することをおすすめ

時効援用は、法的な知識や手続きが必要となる専門性の高い分野です。

時効期間の計算を誤る
時効の更新事由を見落とす
債権者の特定を間違える

など、個人の判断で行うとトラブルに発展するリスクもゼロではありません。

そこで、司法書士や弁護士といった専門家に依頼することをおすすめします。法律のプロの視点から見れば、時効成立の可否や、時効援用の方法などを的確に判断できます。面倒な手続きを代行してもらえるのも、専門家に依頼するメリットと言えるでしょう。

依頼する際は、時効援用の実績が豊富な事務所を選ぶようにしましょう。ヒアリングの際に、時効の成立要件についてしっかりと確認してくれる事務所なら、安心して任せられます。単に時効援用をするだけでなく、債務整理の観点からアドバイスしてくれる専門家を選びましょう。

借金問題は時効に頼らず解決を

借金問題は時効に頼らず解決を

時効援用は借金問題の解決策の一つですが、必ずしも最良の選択肢とは限りません。時効援用のデメリットを考えると、むしろ積極的に債務整理に取り組む方が賢明な場合もあるでしょう。

借金問題を抱えている方は、時効援用に頼る前に、まずは債務整理の検討から始めてみてはいかがでしょうか。時効に頼らない解決方法を紹介します。

借金の返済に行き詰まったら、まずは債務整理を検討

借金の返済に窮している状況でも、安易に時効に頼るのは避けた方がよいかもしれません。なぜなら、時効援用には信用情報への悪影響というデメリットがあるからです。延滞情報が残ったままでは、新たな借り入れやローンの利用などに支障が出る恐れがあります。

そこでおすすめなのが、任意整理による債務整理です。

任意整理とは
任意整理とは、弁護士や司法書士に依頼して、債権者との交渉により借金を減額する債務整理の手法です。利息の支払いを止め、元金も大幅にカットしてもらえるので、返済の負担を大きく軽減できます。

任意整理なら、将来的に完済できる見通しが立てば、ブラックリストからの復帰も可能です。一定期間は信用情報に傷が付きますが、時効援用よりは与信への影響は小さいです。借金問題の解決と、信用の回復の両立を目指すなら、まずは任意整理の検討からスタートしてみてはいかがでしょうか。

闇金の取り立てに悩まされているなら、すぐに相談を

違法な高金利で貸し付け、厳しい取り立てを行う闇金融。闇金からの借金は、そもそも法的な債務ではないため、時効援用には馴染みません。弁護士に相談して適切な対応を取ることが大切です。

弁護士に相談すれば、取り立ての停止を求める通知を出してもらえます。実力行使を伴う違法な取り立ては犯罪ですから、警察への相談もためらわないことです。法律のプロに依頼することで、闇金業者とのトラブルを適切に処理できるでしょう。

闇金対策に詳しい弁護士なら、借金の整理についても的確なアドバイスが期待できます。取り立てに怯える日々から一刻も早く解放されるためにも、ためらわずに専門家への相談を検討してみてください。一人で悩まず、頼れる専門家を味方につけることが大切です。

時効についてもプロへ相談を

時効援用を検討する際も、できれば専門家への相談から始めましょう。時効の成立条件は複雑で、一般の方には判断が難しい面があります。せっかく時効援用の通知を出しても、実は時効が成立していなかった…といったトラブルは避けたいものです。

弁護士・司法書士といった専門家なら、取引履歴などから総合的に時効の成否を判定できます。時効援用の方法や、その後の対応などについても的確なアドバイスをしてくれるはずです。メリット・デメリットを含めて、時効援用の是非を冷静に判断するのも専門家の役目と言えます。

もし、時効援用に不安を感じるなら、まずは無料相談などを活用するのはいかがでしょうか。実際に相談してみると、悩みも段々と整理されていくはずです。時効援用にはメリットもありますが、リスクもあることを知った上で、借金問題の解決策を探っていきましょう。

借金の時効に関するよくある質問

時効援用は、専門性が高くイメージしづらい面もある手続きです。分からないことだらけで、「そもそもどこから手をつけていいのか」と途方に暮れている方もいるかもしれません。

借金の時効に関する代表的な質問をQ&A形式で取り上げます。時効援用を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q. 時効援用には費用がかかる?

時効援用を自分で行う場合、内容証明の郵送料など1,000円ほどの費用はかかります。

書面作成などは自力で行う必要がありますし、債権者からの反論への対応なども求められます。手続きの専門性を考えると、弁護士に依頼した方が安心かもしれません。

弁護士報酬は、事務所によって異なりますので、依頼前には無料相談を活用し、報酬体系や税込み・別などをしっかりと確認しておくことをおすすめします。弁護士との相性も大切なポイントです。相談しやすく、親身に対応してくれる事務所を選びましょう。時効援用の実績が豊富な弁護士なら、報酬以上の価値を提供してくれるはずです。

Q. 時効援用しても、信用情報の延滞記録は消えない?

時効援用が認められても、信用情報機関に登録された延滞等の情報は消えません。

つまり、ブラックリストからの即時の復帰は難しいということです。時効援用後も、一定期間は与信への影響が避けられないのです。

ただし、債権者の中には、時効援用を受けて任意で延滞情報を削除してくれるケースもあります。債権放棄に応じる債権者なら、そのような対応を取ってくれる可能性もゼロではありません。

ですが、あくまで債権者の任意の対応であり、義務ではありません。時効援用とは別に、信用情報の削除について交渉する必要があるでしょう。交渉の進め方についても、弁護士から的確なアドバイスを得られれば心強いはずです。

Q. 時効援用に失敗するリスクは?

時効援用に失敗した場合、債権者から改めて全額払いを請求されるリスクがあります。

例えば、「一部弁済していた期間を考慮せずに時効援用した」といったケースでは、援用が無効となり、時効前の債務が復活してしまうのです。

時効が完成していなければ、債権者は債務の履行を求める権利を持ち続けます。裁判で請求権が認められれば、判決に基づいて強制執行を受ける可能性もあるでしょう。その際、遅延損害金を上乗せされるリスクもあります。

時効援用に失敗すれば、余計な出費を強いられるだけでなく、精神的にも大きな負担を背負うことになりかねません。だからこそ、時効の成否や、時効援用の方法などは慎重に吟味する必要があるのです。やみくもに時効に賭けるのではなく、専門家の力も借りて総合的に判断することが肝要だと言えます。

時効援用にはメリットもありますが、リスクも小さくありません。時効制度を正しく理解し、借金問題の解決に役立てていきたいものです。時効だけに頼らず、債務整理など他の選択肢も視野に入れながら、ゆとりある家計を目指していきましょう。

まとめ

借金問題にも時効制度が適用され、原則5年の期間が経過すれば債務の支払い義務がなくなる可能性があります。しかし時効を援用するには、その間に一部でも弁済していないことや、債務の存在を認める行為をしていないことが条件となるため、単純ではないでしょう。

時効援用しても信用情報の延滞記録が残り続けるケースもあり、デメリットも考慮する必要があります。時効の更新の有無の判断を誤ると、かえって不利益を被るリスクもあるため、借金問題の解決には専門家であるプロのアドバイスを求めることをおすすめいたします。

まずはお気軽にメールフォームや電話、LINEにて当事務所までご相談ください。借金問題の解決に向けて、全力でサポートさせていただきます。

おすすめの記事